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カロリー大好き!「楽しいこと、アツいこと=熱量(カロリー)!」というわけで、単に好きなことやってるブログです

KEK(高エネルギー加速器研究機構)の一般公開で超スゴくて超わけわからんけど超カッコイイ実験機器を見てきたので写真を見てくれ

 どうも、デーブです。これの続編みたいなもんです。

今回は、2017年9月3日に茨城県つくば市にあるKEK(高エネルギー加速器研究機構)で行われた一般公開に行って、日常生活ではお目にかかることのない訳わからん実験機器たちを見つめてきましたよ!

つくば駅前は朝から大行列!広いぜ広いぜ広いぜKEK

9月3日(日)、朝9時のTXつくば駅前の様子です。

大行列。J-PARC一般公開は、ひたすらバスでピストン輸送してたように思うのですが、KEKの場合は本数と発車時間が決まってるようで、長蛇の列に。貴重な一般公開の機会とあって、かなりの人気です。

バスで揺られること20分、KEKに到着することになるわけですが、KEK、メチャ広いです。メチャ広いのはJ-PARCもなんですが、公開されてる施設も多いので、ぶっちゃけ1日で回りきるのはかなり大変です。

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ですがパンフレットには、「初めてKEKに来た方向けコース」「研究について知り、語らうコース」「カメラ撮影向けコース」など、目的別の見学プランなども用意されている至れり尽くせりっぷりなので、初めての人、詳しくない人でも無問題!

ちなみに、今回もライター・カメラマンの林佑樹さんとご一緒させていただきました。

以前も紹介した同人誌は、まさにココ、KEKで撮影されたものなので、読み合わせながら見学すると面白さ倍増なんではないかと思います。オススメです。

で、KEKって何やってるとこなの?(説明困難)

前回も説明できなかったのに、今回も説明できるわけないだろ! というのはまあさておき、超絶ざっくり説明すると、

物質を構成する最小単位である素粒子を通じて、物質の成り立ちから宇宙の成り立ちまでを解明しようとする研究施設群

……といったところでしょうか。フワフワした言い方になっちゃいますが。物質の構成や振る舞いが研究対象なので、その適用範囲は前述のような宇宙レベルの話から、生体の細胞の性質など医療に関わる分野まで、極めて広くなります。そんな「根源的」かつ「先端的」な研究の拠点がここ、KEKなのです。多分。

まあ細かい能書きはいいので、施設見ていきましょう施設。

電子陽電子入射器(LINAC)

電子陽電子入射器 (LINAC) | KEK

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電子ビームと陽電子ビームを作り出し高エネルギー状態にするための施設です。生成されたビームは、後述するSuperKEKBやフォトンファクトリーの加速器に供給されています。

管制室。「BEAM MODE」のボタンが激アツ。

ダイヤルのない黒電話だー! この施設自体の沿革は調べきれませんでしたが、KEKの前身となる 高エネルギー物理学研究所の発足が1971年ですから、これも30年は下らない年代モノではないかと思われます。

世界第二位の全長600メートルに及ぶ線形加速器は地下にあります。

ここにも相応に年代を感じさせる壁時計が。

J-PARCでも見た四重極電磁石。J-PARCで見たやつに比べると、数回り小さい。かわいい。

今回も真空バルブなどの金属部品を愛でつつ写真を撮るのがメインです。

この「電子陽電子入射器棟」はざっくり言うと地上と地下の2階建て構造になっていて、前述のとおり地下には線形加速器があります。で、地上には何があるかと言うと、電子ビーム、陽電子ビームの加速に用いられるマイクロ波を供給する装置がズラリと並んでいます。

電子レンジの4万倍のマイクロ波を出力できる「クライストロン」と呼ばれるマイクロ波発生装置が60台並んでいます。

こちらもアナログメーターなど、計器が結構年代物。

研究者の方によると、「内部のパーツは更新(交換)しながら使い続けているけど、計器そのものは30年もの」だそうで。

圧倒的パワを感じます。感じるでしょう?

SuperKEKB加速器

SuperKEKBリング | KEK

電子と陽電子を加速させて衝突させ、そこで発生する素粒子反応を計測するという研究に使われていたKEKB加速器(KEKは施設名、Bは、衝突で発生するB中間子)というのがありまして、それをスーパーにしたものがSuperKEKB加速器です。性能比40倍。元がどう凄いのか全く分からないので、40倍の凄さも分からないのですが、とにかく40倍だぞ40倍!(テンコジの形相で)
衝突を観測する装置(BelleII)もあとで出てきますのでお楽しみに。

J-PARCの加速器は陽電子ビームだけだったので1ラインでしたが、こちらは電子ビームと陽電子ビームがあるので2ライン並んでいます。

完全に専用の機器群だし、超絶精密な計算の上に構築されているんだと思うんですが、そういうものが「手組み」されてるところがいいですよね。

ラベル貼ってあったり。 

機器のサイズ感的にはJ-PARCで見た陽電子ビームのラインと同じ規模感。ただし、J-PARCは周長約1.5kmですが、こっちは3kmに及びます。長い。

アイワのブラウン管テレビ!ケーブルテレビのシステムを使ってモニタリングしているのでしょうか。

そしてダイヤル式電話!

いわゆる「内線表」だと思うんですが、15年前から変わってないんだろうか……。

先端加速器試験棟(ATF)

先端加速器試験施設 Accelerator Test Facility

宇宙の根源的な問題のために建設が構想されている超大型実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」。さきほど紹介した電子陽電子入射器LINACは全長600mの線形加速器でしたが、ILCは全長約20~50kmを構想しているそうです。頭おかしい

その超絶巨大な施設で電子と陽電子の衝突実験を行い、宇宙初期に迫る高エネルギーの反応を作り出そうとしています。平たく言うとビッグバンを再現しようとしているんです(正確には、「ビッグバンの直後に発生した状況を再現しようとしている」ということらしい)。それによって、時間と空間、宇宙開闢の謎などを解き明かそうという計画です。正気か?

バベルの塔よりヤバくないですか?神の雷を落とされませんか?あ、でも神の雷ぐらいの大電力が欲しいですよね。

で、そのILCでは、絞り込まれた超極小のビームが必要になる(らしい)のですが、その極小ビームを作り出すための、世界で唯一の試験加速器を備える施設がこの「先端加速器試験棟(ATF)」です。

素人目には、これまでに見た加速器たちと大体おんなじような装置に見える(まあ基本的な構造はそりゃ近いのでしょう)のですが、極小ビームの実験器だけあって、J-PARCのMRや前述のLINACと較べても、さらにギュッ!と濃縮されたような印象があります。

濃縮されるとどうなるかというと、すなわち密度です。

これまでの加速器では、割と広くて長いトンネルにドーン!という感じでしたが、小さい!細い!狭い!という感じで密度感バツグン。

んん~~~~っ!密度密度密度!

J-PARCのMR(メインリング)もそうでしたが、こうやってビームラインがちょっとずつ曲げられてるとこ、素敵ですよね?

ゴール。(ゴール?)

Belle II測定器

Belle II | KEK

前述のSuperKEKB加速器で電子と陽電子を衝突させた際に発生する、大量のB中間子・反B中間子を測定するための装置です。平たく言うと、巨大なデジカメセンサーみたいなものでしょうか。

Belle II

KEKB加速器+Belle測定器の組み合わせで1999年~2010年に渡って運転され、2008年の小林誠博士・益川英敏博士のノーベル物理学賞受賞など、様々な研究に貢献してきましたが、現在はSuperKEKBとともに、Belle IIとしてパワーアップし、2017年度内の運転開始を目指して調整が進められています。

圧倒的異形感。

↑の写真の右に見えているブルーの壁っぽいものは遮蔽体です。運転時は、これでガッチリ覆われます。でないと、色々ヤバいものが漏れちゃうからね……。ヤバいヤバい。

最先端の実験施設というのは、「初めての実験をするために誰も作ったことがない環境を作る」ということでもあるので、そこにまつわる様々な準備自体が、挑戦の歴史だったのでしょう。

 

Photon Factory

KEK IMSS 放射光科学研究施設

電子加速器によって発生する放射光を使った、様々な研究が行われている施設です。本当にいろんな研究があちこちで行われているので、もう施設内はすっごいカオスです。どれが何なのかさっぱりレベル。

放射光って言われてもなんやの?という話ですが、代表的なところではX線です。フォトンファクトリー(Photon Factory)の名前を取った加速器「PFリング」は、X線領域では日本初の加速器だったそうです(1982年に放射光発生に成功)。

X線というと、いわゆるレントゲン写真(X線検査)を思い浮かべる人も多いと思いますが、X線を照射した際の分子や原子の振る舞いを調べることで、様々な分野の物質研究や生命科学研究に用いられています。

キムワイプだ!

だだっ広い所内も味わい深い

巨大な加速器施設などがあるため、KEKは端的に言うとクソ広いです。

なので、ある種牧歌的というか、のんびりした光景が広がってたりもします。

施設棟に「筑波」「日光」「富士」などの名称がついているため、施設内の案内板がなかなかシュール。青看板なので、マジの道路標識っぽいところも含めて。

この、なんかカジュアルな案内板に、「Photon Factory」という非日常的な文字列。そして、空き地の上を走るパイプ類。広い空。この、妙に牧歌的な非日常の世界、かなりソワソワして面白いですよ。

というわけで、J-PARC同様、日常にはありえないスゲー規模の実験機器類を目の当たりにできる、とてもエキサイティングなイベントです。同時に、研究対象は「世界を構成する物質の最小単位」だったりしていて、日常そのものとも言えます。KEKは、多分来年の春にも施設公開イベントがあると思われますので、興味をもった方は参加しましょう!カメラ持って!

今回使ったレンズとカメラ 

↑今回メインで使用したレンズ。金属のヌメッとした光沢とかが最高に最高なので最高にオススメです。